駄菓子屋くんに誰にも一等が当たらないくじがありました。

誰にも一等が当たらないくじがありました。思い出深い駄菓子屋君の垣根につるしてあった甘納豆のくじなのです。一時くじを退くのに五円か十円の時代だ。昭和四十時世の当初でした。皆が特に注目していたものがありました。一等は何だったかというと、ひもを引くと丸っこい羽根が飛んで出向くという、プラスティックのプロペラの付いたヘリコプターでした。黄色くてヒモが見えて、空に飛んで行く格好が浮かんで来そうでした。みんな思っていました。今度はあてはまるだろう、今度は触れるだろうと。でも当たった友人は誰もいませんでした。独りでにそのヘリコプターのくじは消えてしまって、初々しい別の種類のくじが垣根にかかっていました。現下思えば一等賞は「おとり」だったのかも知れないのです。でもそれは謎なのです。分かっていることは、そのヘリコプターで遊んだ実例の居残る友人は誰もいなかったという事です。当たった友人はいませんでした。ヘリコプターは台紙の金字塔高いところでカワイイ姿を見せていたのでした。

駄菓子屋くんに誰にも一等が当たらないくじがありました。